弊社は新たに開発したリサイクルグラファイト粉末を、焼結させて作製したグラファイト多孔質焼結体を、吸着処理用フィルターとした高度糞尿排水処理システムの研究開発を行っています。
畜産農家の家畜排せつ物(糞尿)の処理は深刻な問題で、地域の環境への影響が大きく、さらに地下水の汚染の原因にもなります。そのため「家畜排せつ物管理法」(農林水産省に)が施行され、家畜排せつ物の適正な処理を目的とした畜産排水処理施設の開発・導入が様々な企業などで進められています。
現在一般的に行われている排水処理は1次処理(固液分離)、2次処理(微生物処理)の基本工程に分けられております。
しかし、BOD(生物化学的酸素要求量)や浮遊物質の除去は可能ですが、COD(化学的酸素要求量)や着色、臭いは十分処理できないため、そのまま河川に放流するには問題があります。
そこで基本工程の後、さらに高度な処理を行う必要があるのです。
STEP 01
1次処理(固液分離)
沈殿分離、ふるいやスクリーンにより固形物の除去を行います。
STEP 02
2次処理(微生物処理)
残存する有機物を微生物の働きによって除去する。
STEP 03
高度処理(リン、難分解性物質、色の除去)
様々な処理方法が研究されています。
畜産に関連する有害物質 | 基準値 | 適用対象 |
---|---|---|
アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸性化合物注1) (略称:硝酸性窒素等、硝酸性窒素類) |
600mg/L注2) (暫定平成31年6月末日まで) |
全ての特定事業場 |
注1)こちらの式にて算出。
アンモニア性窒素×0.4+亜硝酸性窒素+硝酸性窒素
注2)今後さらに厳しくなることが想定。
一般排水基準値100mg/Lに向けた低減に努める必要がある。年1回の自主測定が義務化。
畜産に関連する項目 | 基準値 ( < >内は日間平均値) | 適用対象 |
---|---|---|
水素イオン濃度(pH) | 海域以外:5.8~8.6 海域:5.0~9.0 |
特定事業場のうち、 |
BODまたはCOD注1) | 160mg/L <120mg/L> |
|
SS | 200mg/L <150mg/L> |
|
銅含有量 | 3mg/L |
|
亜鉛含有量 | 2mg/L |
|
大腸菌群数 | <3,000個/cm3> |
|
窒素含有量 | 120mg/L <60mg/L> |
指定湖沼に係る特定事業場のうち、 |
リン含有量 | 16mg/L <8mg/L> |
|
窒素含有量 | 豚房施設以外:120 mg/L<60 mg/L> |
閉鎖性海域に係る特定事業場のうち、 |
豚房施設:170 mg/L<140 mg/L> |
||
リン含有量 | 豚房施設以外:16mg/L<8 mg/L> |
|
豚房施設:25 mg/L<20 mg/L>注2) |
注1)BODの排水基準は海域及び湖沼以外の公共用水域への排水、CODの排水基準は海域及び湖沼への排水に限って適用。
注2)今後さらに厳しくなることが想定。
汚水浄化処理施設の適切な運転管理を行い、一般排水基準値である窒素 120mg/L <60mg/L>、リン16mg/L <8mg/L>に向けた低減に努める必要がある。
下記が色素&窒素吸着素材を使用して吸着処理した溶液の分析結果です。
このようにすべての項目で水質汚濁防止法に基づく排水基準値をクリアしているのがご覧いただけます。
色に着目した場合、未使用の焼結体で吸着した溶液は糞尿原液の濃い茶色の着色が薄い黄色に脱色していることがおわかりいただけます。繰り返し使用する場合には一度使用した後500℃で加熱処理することで脱色能は改善していることが分かり、適切な熱処理等を行うことで繰り返し使用することができるため、吸着材として使用できる可能性が十分にあります。
糞尿原液 | 基準値 | グラファイト多孔質焼結体容器による 吸着処理 |
||
---|---|---|---|---|
生物化学的酸素要求量(BOD) | mg/L | 210 | 160 | 34 |
化学的酸素要求量(COD) | mg/L | 620 | 160 | 100 |
浮遊物質量(SS) | mg/L | 12 | 200 | 4 |
窒素含有量 | mg/L | 800 | 120 | 110 |
リン含有量 | mg/L | 8.7 | 16 | 5.7 |
生物化学的酸素要求量(BOD) | mg/L | 210 | 160 | 34 |
排水の脱色 |
〒463-0018 愛知県名古屋市守山区桜坂4丁目206番地先端技術連携リサーチセンター 252号室
©️2018 SANKEN CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.